企画展「デザーナーとしての吉田璋也」で最初に目に入るのがこの椅子。
吉田医院診察椅子(昭和30年代頃)
患者さんの背筋を伸ばし体を固定するため背もたれをハイバックとし、
高さ調整のため、座を円形とし上下回転式とする。
機能から生れた形態・・・「用の美」か?
機能主義か?
オットー・ワグナー(1841-1818,ウィーン分離派)
「芸術は必要にのみ従う。」(Artis sola domina necessitas)
ルイス・サリバン(1856-1924,シカゴ派)
「形態は機能に従う。」(form follows function. )
・・・なるほど。
アドルフ・ロース(1870-1933,ウィーン)
「装飾は罪悪である。」("Ornament und Verbrechen")
ル・コルビュジェ(1887-1965,フランス)
「住宅は住むための機械だ。」(machines à habiter)
・・・そこまで言うか!
機能主義は「用途に従い、形態を造りだすことで、美を創出した。」(工業化社会へのテーゼ)
「用の美」は「用途に従い、手が造りだした形態に、美を発見した。」(工業化社会へのアンチテーゼ)
と、いうことは・・・この椅子は前者・・・つまりデザインされたものということなのだが・・・
しかし、吉田璋也のデザインは「工業化社会へのアンチテーゼ」を目指したのではなく、
「工業化社会との融合というジンテーゼ」を目指したと言えるのではないか。
デザイナーとしての吉田璋也の頂点の一つとなった椅子である。
P.S. 鳥取民藝美術館では吉田璋也がデザインした家具(虎尾政次・辰巳木工など)の所在を
調査しています。 持っている人・・・持っていそうな人・・・お教えください。
(KIT)
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