「兎の年・因幡のシロウサギ神話内外事情」でした。

ギリシャ神話と古事記の関係や、世界中に広がるウサギの神話や物語の関係など
大変興味深いお話でした。
・・・古代の東西の世界のつながりには驚かされます・・・
出席できなかった方や、出席者の中から先生のお話についてリクエストがありましたので、
先生に講演要旨をまとめていただきました。
【講演要旨】
ギリシャ・ローマ神話の「亡き妻エウリュディケを求め冥界へ下りるオルペウス」の話(オウィディウスの『変身物語』所収等)は、古事記の「亡き妻イザナミを求め黄泉国へ下りるイザナキ」の神話にとてもよく似ています。「な視たまひそ」のタブーを犯し、いずれも妻を永遠に失うお話です。
古代インド語とギリシャ語やラテン語は源が共通であると言われ、それらは印欧語族といわれています(フランスの印欧語・神話学者のG.デュメジル)。印欧語族のギリシャ神話は、黒海地方の遊牧騎馬民スキュタイ人などにより、また(日本語族に近いといわれる)アルタイ系騎馬民にり東へ流れ古代朝鮮などを経て日本に伝えられたようです。古事記の神話にギリシャ神話との共通性が見られるのはこうした根拠によるのでしょう。
古事記の神話のシロウサギの類型は、中国をはじめシベリア、アジアからアフリカに広く分布しています。ウサギは世界中の様々な民族の神話や物語の中で「トリックスター」として活躍します。「トリックスターは創造者であると同時に破壊者でもあり、瞞着者でありながら、常に自分も罠に嵌まってひどい目にあう。トリックスターは善と悪に無頓着で、道徳には全く関心を持たない。」(フィリップ・ヴァールテール教授)といった役柄なのです。因幡のシロウサギのお話もそれに当てはまりますね。
また同時に、中世フランス伝承にも見られますが、ライオンの猛獣が棘などを抜いてもらった人間の窮地を救う「報恩の動物」の性格も因幡のシロウサギは備えていて(同教授)、後者はむしろ印欧語圏の話に共通だとされていて、これら二つの異なる性格が、因幡のシロウサギの存在を特徴づけていると指摘されています。
因幡地方にはウサギを祀る神社が幾つかあります。それらの神社の縁起は定かではありませんが、神話の舞台となった「気多の前」(ケタノサキ)の場所も議論の余地があります。諸先生の研究が積み重なっていって、いつかその地を同定してほしいものですね。
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シロウサギについてもう少し勉強されたい方は
門田先生の編著書『比較神話から読み解く 因幡の白兎神話の謎』(今井書店,2008)がオススメ。
また、昨年開催されたシンポジウムの報告書
『白兎はどこから来たの シロウサギの世界 報告書』(2011)が最新情報です。
鳥取から鳥取を見るのも大切ですが、世界から鳥取を見ることも大切ですね。
(KIT)
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