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富山の「龍女食堂」で
2010年 06月 08日 |
民藝運動には「聖地」があります。
昭和23年、柳宗悦が「美の法門」を著した富山県南砺市、城端別院・善徳寺。
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先週の土曜日、日本民藝協会全国大会がここで開催されたのです。

さて、その門前を少し下ったところに「龍女食堂」があります。
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10年ばかり前、このあたりに吉田璋也の関係者がラーメン店を開いていると聞いたことがあり、
もしやと思い寄ってみました。
「ご主人、もしやこのお店はカメラマンの山口弘さん縁のお店では?」
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やはりそうでした!この方はそのご子息・・・といっても昭和6年生れの76歳・・・
「親父は平成10年に亡くなりました。」・・・

戦時中、吉田璋也は中国の民藝に心を引かれ、北京で民藝運動をおこしました。
その時のカメラマンが華北交通の山口弘だったのです。
昭和21年、その成果の一部が「北支那民藝図録 1・2巻」として刊行されています。
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吉田璋也・編 山口弘・撮影 ちゃんと表紙にありますね。

図録掲載の他にも多くのネガがあったのだろうと思います。
残念ながらその行方はわかりませんでしたが、
当時の北京の様子をいろいろ伺うことが出来ました。
「親父は板前だったんだけど戦争に取られて、それから華北交通で写真を始めたのです。」
「戦争に負けても、満州あたりと違って混乱は少なかったですよ。」
「敗戦後も、私は日本人だからって、差別されたことはありませんでした。」
「引き上げたのは昭和21年の6月でね・・・」
「何も持って帰れなかったな・・・」
「混乱もなくスムーズに日本に帰ってきて、確か一人あたり1,000円もらったと思う・・・」

ふらっと立寄ったラーメン店で、65年の時空を超えたお話に感激しつつ、
チャーシューメンとギョーザの昼食を頂いたのでした。
(KIT)

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