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平成27年度後期展示について
2016年 01月 26日 |
大寒も半ばとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。


 当館では、現在「茶と民藝 一フクイカガ 茶モ忘レテ」展(階上)「吉田璋也の新作民藝 民藝の住居(すまい)」展(階下)を開催中です。
「一フクイカガ 茶モ忘レテ」という言葉は、民藝運動の創始者柳宗悦(明治22年-昭和36年)が詠った短文の句です。柳は晩年、美の本質を問い続けた心の遍歴を短い句に込め、これらを纏めた『心偈』(こころうた)を世に表しました。本作は「心偈」の中でも茶に関する句「茶偈」(ちゃうた・ちゃげ)です。
 ここで語る茶とは茶道を意味します。柳は昭和10年に茶道論「茶道に想う」を発表し、初期の茶人を敬い、<生活で美を味わうのが真の「茶」である>と述べました。しかし、当時の茶道界は時の趨勢に伴い、本来の精神とはかけ離れた姿を見せるものもあり、戦後の柳は現代茶道を痛烈に批判し、さまざまな波紋を呼びました。
 そうした中で詠まれたこの句は、茶道を心得る者に深い内省を促す一文です。茶を忘れるとは、趣味に溺れず、いにしえに染まらず、無事の境地で茶を点てることであり、「活きた茶がおのずから輝きでる」のはその時だと語っています。停滞して淀んではならない。古今を超えた茶道の真理を体得せんとする心が「今」の茶を生む。身の引き締まる偈です。

 柳は茶人の資格として「活きた茶」を生み出す創造力を求めました。これを実践した人物が吉田璋也です。生前、古作の茶器を用いず、新作民藝の茶碗で人々をもてなしたことはその表れといえましょう。本展に陳列した高麗茶碗などの茶器は、己の目、作り手の目を養うための蒐集品。古物趣味に陥らずという茶人の心得を体現しました。作り手は名器に触れ、技術を磨き、様々な器を生み出しました。その一人が牛ノ戸窯の当主であった小林秀晴氏(明治34年-昭和54年)であり、この軸の持ち主でした。

 さて今回、柳宗悦直筆、かつ表装もデザインした本軸を、現牛ノ戸窯当主・小林孝男氏より借用させていただき、展示しております。隣にはセピア色の懐かしい写真を陳列しました。小林邸の床の間にこの軸が飾られ、その前で璋也と小林秀晴氏が牛ノ戸窯の茶碗を並べて語り合っています。「一フクイカガ…」の世界を垣間見るようです。
 また、階下の展示には昨年ご逝去された因州中井窯・坂本實男氏の茶器を展示し、璋也のすまいを再現展示しております。両展をご鑑賞いただくことで、鳥取のこの場所でしか味わえない、璋也の茶の世界を感じていただきたいと願っております。
春を待つこの時期に、ぜひお楽しみください。



〈ギャラリーたくみ〉
残したい日本の手仕事展
ギャラリーたくみ(鳥取たくみ工芸店2階)    
会期 平成28年1月15日(金)から2月8日(月)
   午前10:00 ~ 午後6:00
  ※水曜日は定休日となります。

〈鳥取民藝美術館〉
吉田璋也の新作民藝(民藝の住居)
民藝と茶 - 一フクイカガ 茶モ忘レテ -

会期 平成28年4月17日(日)まで
   午前10:00 ~ 午後17:00
  (休館日:毎週水曜日) 



'''''お問合せ先''''''
鳥取たくみ工芸店/鳥取民藝美術館
電話 0857-26-2367
お問い合わせメール

by t-mingei | 2016-01-26 14:19 | 鳥取民藝美術館 | Comments(0) |